明日帰る、明日帰るといいながら、ずるずると延期になっているKeiです。思わぬ青春18切符の危険:日程が決まってないから先延ばしになる。うーん、これは本当に想像外だったなぁ…。

攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society
(2006/11/24)
田中敦子、阪脩 他

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というわけで、今更なんですが、『攻殻機動隊 S.A.C. S.S.S.』を見てました。前に一回見たことあるんですが、お恥ずかしながらその時はラストが「?」ってな感じであんまり印象が良くなかったんです、…が、改めて見ると傑作ですねー、ホント。

以下『攻殻機動隊 SAC S.S.S.』のネタバレ含みます。相変わらず抽象的というか微妙なネタバレなので、この先を見るか見ないかは自己責任でお願いします。






「勧善懲悪なんてくっだらねー」と坪内逍遥が言って早100年以上たってますが、勧善懲悪モノは未だにいざ知れず。それぐらい、人間ってやっぱり「善/悪」の二項対立でモノを考えがち。そんな二項対立が間違っていることはみんなわかっているんだけど、何だかんだ言っても悪の陰謀は潰えることをみんな望んでいる。
その欲望を忠実に再現したものの一つとして、「刑事ドラマ」があるんだと思う。勿論、終わった後に犯人に同情することはあれ、自分たちが「正義」であることは前提。近未来SF警察モノの『攻殻機動隊』シリーズだって例外ではない。原作や押井攻殻はとりあえず横に置いておくとしても、「SAC」シリーズはまさにそうだ。

「刑事モノ」は「国家権力」が刑事の行動に正当性を与える。実際の刑事モノでは組織の論理よりも感情を優先して動く刑事の方が受けたりする(『コードギアス』におけるルルーシュとスザクの人気の差)。
でも、彼らは客観的に見れば独善的だ。どんなに社会のためになると自分で考えていたとしても、自分の価値観であることは確かだ。結局、自分の価値観で悪と判断したものを成敗しようとする行為は正義なのだろうか?という問いに最終的になってしまう。
そういう意味で『攻殻機動隊SAC』の公安9課も十分独善的である。「2nd GIG.」ではクーデター状態の国家の意思に逆らい行動し、「S.S.S.」では総理大臣の意志に逆らい行動している。

僕がたまにボソッと攻殻を批判する時どうしても、ここが引っかかっていたというのはあるんですよね…。きっと「刑事モノ」「ポリスアクション」ものの永遠の課題なんでしょうが(逆に戦争モノの方が『ガンダム』のように相対化しやすいのかもしれない)。

「S.A.C.」のアオイだって力を持ったホールデン少年だったわけだし、そのアオイをスカウトしようとした公安9課は、アオイ以上にアオイ的だったのかもしれない。クゼしかり、ゴーダしかり。

そう考えると、ホールデン少年的な公安9課が行き着くところは(そしてそれは当然行き着き先)は、やはり「S.S.S.」のラストの合わせ鏡だった…という印象を改めて見ると思いましたね。…前見た時は全然思わなかったけど(笑)。
それに対して、課長がとりあえずの回答を与え、トグサが「未来に託す」と投げて終わったのもまた、常にホールデン少年的であり、かつそのことに自覚的であった公安9課がいきつく回答なのかもしれません。独善的でない社会的な行為ってどこに存在するんだ?って話になりますしね。

改めて考えると、『デスノ』のライトって力を持ったホールデンだよなぁ…。
でも、僕はホールデンには成りたくない。というか、ホールデンでい続けることはすごいつらいと思う。自分がおかしい、と思ったことに「インチキだ」ってレッテル貼って噛み付いていくなんて到底出来ない。それよりかは「そういうインチキだって高度資本主義社会だから仕方ないんだ。でも、やっぱり自分の大事なものは大事にしたい」という『ダンス・ダンス・ダンス』の「僕」の行き方を僕は取りたい。というか、多分そっちの方が楽だからという理由ですけどね。


(注)野崎訳「ライ麦畑でつまかえて」と春樹訳「キャッチャーインザライ」のホールデンは同じ作品とは思えないぐらい違う印象を受けますが、僕がここで語っているイメージは野崎訳の方です。野崎訳の方が先に読んだので、どうしても野崎訳のイメージが強いので…小説としては春樹訳のほうが好きですが、「ライ麦畑で捕まえて」の本質を捉えているのは野崎訳ではないかと勝手に思っています。

ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)ライ麦畑でつかまえて (白水Uブックス)
(1984/05)
J.D.サリンジャー

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