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『涼宮ハルヒの消失』感想――すれ違いのユキ、そしてハルヒとキョンの物語であるということ。

2010-02-13(Sat)
2月10日、バルト9で『涼宮ハルヒの消失』を見てきました。

元々『消失』は原作を読んでおり、「涼宮ハルヒ」シリーズの中で最高傑作であるとは思っていました。が、もともとハルヒ派であり長門にあまり興味がない僕はハルヒの出番が少ないこともありさほど興味もありませんでした…。

が、やられやくに貼られていたハルヒの一枚の絵を見てようやく重い腰をあげました。このハルヒはかわいい!かわいすぎる!

というわけで、行ってきました。そして、感想。

想像以上に素晴らしかった、と思います。
というより、『消失』ってこんな作品だったのかと思わされました。
とりあえず、原作に忠実と言っていいとは思うのですが、同時にアニメスタッフの再解釈の部分も多々あった印象です。
何せ一度しか見ていないので、どこが原作になくてどこが映画オリジナルかなんてよくわからないので、その辺は混同して以下ネタバレ感想を書きたいと思います。

---ネタバレ---

一般的には『消失』は、「超自然現象が起こらない日常的な世界」よりも、「超自然現象が起きる世界」をキョンが選択した物語と語られ、実際、映画ではその選択部分が鏡のキョンとの自問自答として描かれます。また、憂鬱の冒頭のキョンとのモノローグとも繋がりますね。

しかし、『憂鬱』のラストでキョンは「超自然現象が起こり、物理法則が捻じ曲がった世界」を否定したことは留保しておくべきでしょう。つまり、キョンがハルヒシリーズで二度にわたって選択しているのは「超自然現象が頻繁におきる世界」でも「超自然現象がおきない世界」でもなく、「"あの"SOS団がある世界」*1であることは重要であると思います。

表面的には「今ある日常」に対して醒めた態度をとっているキョンですが、他のパラレルワールド(比ゆ的な意味で)との選択肢を提示され否応なしに「今ある日常」を肯定していたことに気づかされる。しかし、メインの理由として出てくる「超自然現象」如何も重要であると同時に、「あのSOS団がある世界」、いわば「あのハルヒ」や「あのみくるちゃん"」や「あの長門」や「あの古泉」がいる世界を選択していることでもあるとも言えるでしょう。

さて、キョンのモノローグにもあるとおり、「消失世界」でSOS団のメンバーで大きく変化しているのは長門なのは改めて指摘するまでもありません。実は『消失』原作では長門の変化は「入部届け」を差し出すところとキョンのモノローグで説明される部分しか印象に残っていませんでした。映画版では長門の表情が克明に描かれていたこと、そして茅原実里さんの好演により鮮明に長門の変化を捉えることが出来たように思えます*2。

つまり、さきほどの図式で言えばキョンはエンターキーを押すと同時に「消失長門」ではなく、「あの長門」を選択しているとも言えるわけです。キョンは長門に対して「長門は長門のままでいい、変わらなくていいよ」と肯定・承認を与えている話とも読み取れるでしょう。

一見いい話に見えますが、どうしてもここにもの悲しさを僕は感じてしまうのです。原作と違って、映画『消失』はハッピーエンドではなく、一種のもの悲しさも含めた演出になっています。映画独自のシーンとしてキョンが「ゆき」といい、長門有希がキョンを見上げるとそこに「雪」が…一見ロマンチックに見えますが、実はそこにあるのは長門とキョンのすれ違いでしかありまえん。
「有希」と呼ばれたと思って長門が見上げたら「雪」だった、その長門の「失望」が二人の間の壁であり、雪が持つロマンチックさがますます悲しさを引き立てています。

どういうことでしょうか。さきほどいったとおりキョンは「あの長門」を肯定しましたが、実はそれは長門がやっていることを全肯定をしているわけではありません。なぜなら、長門が行った「世界改変」は否定しているからです。長門が「世界改変までしよう」とまで思いつめた責任を感じながら、その結果至った「世界改変をする」そして「自分までも改変する」という「あの長門」の意思をキョンは否定しているのです。

長門の意思とは何なのでしょうか。そこは長門が残したメッセージに読み取るべきでしょう。長門は何故「三人が部室に揃えばプログラムが起動する」ことを「プラグラム起動条件:鍵が揃うこと」とわざわざわかりにくく記したのでしょうか。

キョンは「選択権を俺に託してくれた」んだ、と説明しています。実際プログラム起動までこぎつけた場合はその通りでしょう。しかし、文面は見ての通り意味不明です。本当に選択権をキョンに託すつもりならば、もっと明瞭に書けばいいのではないしょうか。いくら口数の少ない長門とは言え、実際「憂鬱」の際のメッセージはもっと明瞭でした。

実はここで長門はキョンに確かめたいことがあったのではないでしょうか。作中でプログラムが発動したのはキョンがこの"鍵"を探したからではなく、必死になってハルヒを探した結果とんとん拍子に話が進んで結果的に"鍵"が揃っただけに過ぎません。この"鍵"が何なのかキョンはプログラム発動するまで気づいていません。逆に言えば、キョンがハルヒを発見すればずるずると鍵が揃う仕組みになっていたのかもしれません。

つまり、長門はキョンが「ハルヒが消失した」と気づいたとき、まわりに「気が狂ってる」と思われてもハルヒを探そうとするか、を確かめていたのではないでしょうか。普段、キョンがモノローグで常にウザがっているハルヒをどこまで欲しているのか、それが裏のプログラム発動条件だったのではないでしょうか。

そのプログラム発動条件が揃い消失長門に入部届けを返すシーン、震えている消失長門にここには存在していないはずの「あの長門」の内面を読みこんでしまいす。目の前でキョンの中でのハルヒへの気持ちを見せ付けられたのだから。

さきほど「あの長門」を肯定したのが「消失」である、と私は述べました。が、それは同時に「あの長門」しか肯定していないのです。キョンの中での1番がハルヒであり、長門は大事な「団員」であり、大事な「仲間」である、だけども、キョンにとっての長門はそれでしかない。決して、キョンの中で1番にならない存在でしかない…それは世界を、そして自分を変えても同じだったことを改めて見せ付けられたのだから。もしメタ視点に「あの長門」がいたならば、消失長門と同じく震えていたことでしょう。

そのことを最も知っていたのはみくるちゃん(大)だと思います。長門のマンションの前に立ったみくるちゃんが「私、長門さんは今でも苦手なの…」と沈うつな表情で語るシーンがあります。このセリフは原作を読んだ際は、言葉通りの意味だと思っていました。が、改めてみくるちゃんの沈鬱な表情を画面で見せ付けられ続けると、みくるちゃんが苦手だったのはこれから繰り広げられるシーンだったのだろう、と思わされます。

長門のマンションで繰り広げられるのは、3年後の長門が行った、そして行わざるを得なかったことを否定し、尻拭いを何も知らない長門にやらせるという残酷な光景なのです。何も知らない長門を利用していることを知りつつも、みくるちゃんはそれを使命として行わざるを得ないわけです。「時空を戻したいと考えています」と突如顔をあげて語ったみくるちゃんもまた別種の悲惨さと覚悟を持っているように見えました(演出されています、というべきなのかもしれない)。

『消失』で確認されたことはハルヒとキョンが「理想的なまでの信頼関係」(C)古泉で結ばれている、ということでもあると思います。

それに対して、「消失」で自分を作り変えた長門――どうしてもここに長門有希の悲惨さを読みとってしまいます。自分を作り変えないとキョンに認めてもらえないと思っていた長門。
最後にキョンは「この長門有希にもっとまともな性格を与える事だってできただろうが」とモノローグで語ります。つまり、今の長門の性格はまともではなくて、これから長門を「まとも」にしていくのは自分だ―――と。キョンは長門が好きではあるのだ、けど、やはり最後まですれ違っているのだ………。

*1…もちろんこの"あの"SOS団に消失世界で作りかけた"SOS団"は含まない。
*2…Twitterでは「みのりんの声が変わっている」という意見も見かけましたが、おそらくわざとでしょう(少なくとも最後の屋上のシーンでは以前と同じだった印象があります)。世界改変前に長門のセリフはなく、長門の第一声がまったく変わっていたのには大きなインパクトを与えられました。
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